2020年5月23日土曜日

ウェーバー『無窮動』

10年以上前に買った電子ピアノが未だに家にあるが、アップライトピアノを購入してからはほとんど触ることがなくなってしまった。電子ピアノに慣れていると気にならなかったが、アップライトとは言え、本物のピアノの音色とタッチはやはり電子ピアノとはまったくの別物だ。

去年秋にヤマハが主催する、大人の発表会に出た。会場が思った以上に寒く、手が冷えてしまってうまく動かなかったのが悔やまれる。そして、リハーサルがないっていうのはなかなか辛いものなんだなぁと思った。子供のときは、リハーサルなんて面倒くさいとしか思っていなかったが…鍵盤の感触が家で弾いているものと全然違うのに、弾き始めたら弾き続けないといけないというのは。

ゆっくり始まる曲なら、あまり思わなかったかもしれない。プロの演奏会でも、最初は肩慣らしみたいなところから始まるような気がする。私が選んだのは、ウェーバーのピアノソナタ第1番4楽章『無窮動』。

電子ピアノを購入したときに、おまけで?50曲入った楽譜の本がついてきた。有名な曲ばかりなので大体弾いたことがあるか、聞いたことぐらいはあったので、ちょくちょくその中から適当に選んで弾いていたのだが、どうせなら全部弾けるようになっちゃえー、と思い、楽譜を見るだけではまったく魅力を感じたこともなかった、この曲を練習したのだった。

通して弾けるようになったものの、何一つ面白いと思えない。何故この曲が本に入っているのだろう。そして、そのまま放置していたが、あるときYouTubeでこの曲を検索したら、キーシンという名ピアニストの演奏が出てきた。どんな風に弾くのだろうと思って聞いたら

速い!!!!!

他にもいくつか音源はあったものの、彼ほどの圧倒的なスピードで演奏されているものは他にはなく、確かにこんな風に弾いたら面白いかもしれない、と思い、無謀な挑戦が始まったのであった…

勿論速いだけでなく、曲として聴かせる必要があるのだが、まず速いのが弾けない。20-22小節などの和音を含む右手のところがボトルネックになる。また、『無窮動』のタイトルどおり右手を動かし続けるので、最後の方で段々疲労が溜まってくる。

結局本番では余裕をもってゆっくりめに弾いた…つもりだったが、結果は散々だった。状況に応じた選曲は大切だ。が、私の弾きたい曲は子供の頃から派手なのばかり。昔は、今以上に「速いのが正義!」で、歌い上げるように弾くということを考えておらず、今思えば雑な演奏だったんだろうなぁ、と思う。他人の演奏もあんまり参考にしてなかったし…

という反省をできるようになっただけ、大人になったかもしれない。だいぶ遅いけど。

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